
著書『認知症の世界の歩き方』を執筆され、認知症研究の第1人者である筧祐介さんを本校に迎え、認知症の人たちの見え方や感じ方について、お話をいただいたり、認知症の方の立場に立って考えてみたりする機会をいただきました。


1つ目のワークショップは、いつも「帽子を外さない老人」がいて、その理由をグループごとに考えました。子どもたちは、その帽子が「宝物だから外さない」とか、「思い出のものだから外さない」とか、「帽子をかぶるのが好きだから」など、答えていました。筧さんからは、この質問に正解された方は今までいなかったと前置きしながらこう答えました。「そのご老人の頭の上には木が生い茂っていて、頭を守るために帽子をかぶっている」とのことでした。そこで、帽子をもう一つ買い、交互に被ってかぶらない帽子は洗濯しようという話になりました。このお話から、認知症の方には「その人なりの理由があって、その人の話をよく聞いてあげて、納得解を一緒に導き出せるとお互いに過ごしやすくなります」ということを教えてくれました。


2つ目のワークショップは、「トイレがうまくできなくなる理由」について考えました。子どもたちからは、「トイレの扉がわからなくなってきたから」「便座にちゃんと座れなくなってきたから」「トイレまでに我慢できなかったから」など、答えていました。筧さんからは、「トイレを済ます」ことは長年してきていることだから、頭の中でもわかっているし、体も覚えている。しかしながら、脳の別の機能がうまく働かなくて、トイレに影響が出てしまうことがあるとのことでした。


今回の学習の冒頭、筧さんから「今回の学習で楽しかったことや初めて知ったことなど、最後に教えてもらえたら嬉しい」と言われていたので、子どもたちに聞いてみました。すると、「認知症の方の見え方を初めて知りました」とか、「初めて知ることもあってよかったです」という感想が聞かれました。筧さんや担当の松山さんからも、認知症の方を偏見を持たず見てもらえているのが嬉しいし、その気持ち(「同じ人間として接すること」)を大切にしてほしいと言われていました。次回、「こういうときはどう接していけばいいのか」について考える機会を設けられたらいいな‥と思っています。