人口減少・少子高齢化の進行、グローバル化や情報化の急速な進展などにより、人々の価値観や働き方、生活様式の変容など社会環境が大きく変化し、将来の予測が困難な時代において、前例にとらわれない新たな発想と行動力をもつ人材の育成が求められております。
鹿追町教育大綱の基本理念である、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓いていく「持続可能な社会の創り手の育成」と、個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられる「ウェルビーイングの向上」を図っていくことを目指し、社会教育と学校教育を両輪として必要な資質・能力を育む教育行政を推進してまいります。
以下、令和7年度において、重点的に取り組む政策を申し上げます。
生涯にわたって学び続けるための環境づくり
第一は、生涯にわたって学び続けるための環境づくりについてであります。

教育長 渡辺 雅人
生涯学習の推進
「人生100年時代」を迎え、より豊かな生き方、暮らし方が志向され、生涯にわたる学びの重要性がこれまで以上に高まっております。誰もがライフステージに応じて自由に学習機会を選択し、学びを深めることで、自己実現や社会貢献を果たしながら、充実した人生を送ることができるよう、生きがいが感じながら活躍できる地域社会の構築と、誰もが学び続けられる環境の整備が必要とされております。
このような中、生涯にわたって学び続ける学習者としての基盤を、探究学習の充実による学校教育において培い、将来、様々な分野・地域で活躍するための資質・能力を身に付けるとともに、学校卒業後においても年齢を問わず自ら学習し、自己の能力を高め、地域貢献への意欲と当事者意識を持ちながら、地域の担い手としての活動に繋げていくことが必要となります。
そのため、「第5次生涯学習中期計画」に基づき、学校や公民館、図書館、美術館、スポーツセンターなどの社会教育施設を「学びの拠点」として活用し、地域における学習活動を支えてまいります。更に、ピュアモルトクラブハウスを拠点とした青年団体活動の支援を通じて、次代を担う人材の育成に取り組んでまいります。
また、保護者や地域住民等が学校運営に当事者として参画するコミュニティ・スクールと、地域住民等の参画により地域と学校が連携・協働する地域学校協働活動との一体的な推進や、関係機関、各種団体と連携・協働を進め、地域教育力の向上や地域コミュニティの基盤強化を図るとともに、地域人材を有効活用する取り組みを構築し、学習機会の充実を図ってまいります。
スポーツ・芸術文化に親しむ環境づくり
スポーツや芸術文化を通じた活動や交流は、地域コミュニティの形成や活性化に大きな役割を果たしており、誰もが年齢や関心、適性に応じて、日常的にスポーツや芸術文化に親しむことのできる機会や環境を整備することが重要であります。
このため、スポーツ・芸術文化を支える人材育成に取り組むとともに、公共のスポーツ施設や文化施設など文化施設の充実・改善を図ってまいります。
また、学校部活動の改革や地域移行への展開を推進し、町民ニーズに応じた多様なスポーツ・芸術文化の活動の場の整備を図ってまいります。
神田日勝記念美術館については、かんだ日照の画業を顕彰するとともに、館蔵品による「日勝コレクション」のほか、気鋭の作家招聘による企画展や道内の他の美術館との作品交換展などを通して、広く日勝ファンの獲得を目指してまいります。
図書館については、誰もが利用しやすく、居心地の良い環境整備を進めるとともに、読書活動の更なる充実を図ってまいります。
文化財に関しては、ジオパーク推進課と連携し、鹿追町文化財「然別火山群オパール産地」の適切な保護と保全に努めるとともに、その学術的価値に関する調査・研究を引き続き進めてまいります。
鹿追高等学校の持続的な発展に向けた支援
今後の館内における中学校卒業者数の減少など、地方の高校を取り巻く環境は益々厳しくなると考えられます。
一方で、町の最高学府として、更には町に賑わいをもたらす教育機関として、高校への期待と役割は益々大きくなってきております。
本町において、鹿追高校は人材育成の面においてもまちづくりの面においても、その役割は極めて重要であることから、鹿追高校の持続的な発展に向け、地元に愛される高校づくりと各種支援策の継続及び全国募集など遠方からの生徒の受入態勢の整備・充実を図り、高校魅力化への支援を一層推進してまいります。
誰一人取り残さない学びの確保に向けた対策
子供たちの多様な学びの機会を確保するため、学校教育に必要不可欠なツールであるICTの更なる活用に向け、学習端末と校務用端末の計画的な更新を進めてまいります。
また、誰一人取り残さず、全ての児童生徒の可能性を引き出す学びを推進するため、特別支援教育においては、一人一人の教育的ニーズに応じた支援の充実を図るとともに、不登校への対応では、学校と教育支援センターの連携強化などにより、児童生徒一人一人や保護者に寄り添った支援を継続し、全ての児童生徒が安心して学べる、魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。
また、多様な他者を理解・尊重し、包摂的な社会の構築に貢献できるよう、多様な体験活動や地域で子どもが交流・協働するキャリア教育など、自らとは異なる立場や地域にいる人々及び環境と接する機会を創出するなど、学校と地域が連携・協働することで、子どもたちの学びの場を学校から地域社会へ広げ、子ども・保護者・地域住民・教職員それぞれが主体的に学校運営に参画する、みんなで創る「みんなの学校」を目指してまいります。
高度な資質・能力を有する人材の育成
第二は、今後の社会環境の変化に対応できる高度な資質・能力を有する人材の育成についてであります。
幼小中高一貫教育の推進
郷土を愛し、地域や世界の課題解決に向けて主体的に取り組むグローバルな視点と、これからの国際社会を逞しく生き抜くために必要な資質・能力を備えた人材育成が求められております。
義務教育においては、様々な分野、地域で国際社会の一員として活躍できる人材の育成を目指し、中学校での「国際バカロレア」の認定に向け、探究教育の充実と生徒が主体となった授業改善を図るとともに、更なる世代間、学校間の接続・連携を推進してまいります。
また、一貫教育の頂点である鹿追高校の探究教育についても支援をし、幼児教育から高校までの、主体的・対話的で深い学びを実現する「幼小中高一貫教育モデル」の具現化に取り組んでまいります。
むすび
むすびに、教育は、個人の社会的自立の基礎を築き、夢や希望の源泉として一人一人の生涯を支えるとともに、その成果は、広く社会全体に還元され、地域社会の維持・発展の原動力となります。
本町が持つ自然や歴史、文化、産業など、特色ある多様な資源を生かしながら、地域社会全体のウェルビーイングの向上に貢献する教育振興に全力で取り組んでまいります。
町理事者、町議会、町民各位のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、令和7年度の教育行政執行方針とさせていただきます。