教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱
- 策定の根拠
- この大綱は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき、国の「教育振興基本計画」を参酌し、本町の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その理念や施策の根本となる方針を定めるものであり、総合教育会議における鹿追町教育委員会との協議を経て、町長が定めるものです。
- 大綱の役割
- この大綱は、町長と教育委員会が、教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について基本的な認識を共有し、連携を密にして、施策を推進することを目的としています。
- 大綱の位置付け
- この大綱は、「鹿追町総合計画」が示す政策の基本的な方向に沿って策定する「特定分野別計画」であり、また、町長や教育委員会は、幼児教育や文化、スポーツなど分野別の関連計画・方針等に基づき、施策を推進していきます。
- 対象期間等
- この大綱の対象期間は設けませんが、関連する各種計画の見直し時期などにおいて、教育を取り巻く環境や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて見直しの検討を行います。
- 持続可能な開発のための教育(ESD)や持続可能な開発目標(SDGs)との関係
- この大綱は、「持続可能な開発のための教育(ESD)」や「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念に合致する施策を推進するものです。
目次
- 教育をめぐる現状・課題・展望
- 鹿追町における教育政策に関する総括的な方針
- 基本的な方針
- グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
- 誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
- 地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
- 教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- 計画の実効性確保のための基盤整備
- 基本的な政策
1.教育をめぐる現状・課題・展望
近時の新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ侵略は、平穏な日常が脅かされ、基本的な価値が揺らぐという共通経験をもたらし、教育基本法の前文にある「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献する」ことの重要性や教育の目標にある生命を尊重することの大切さを再確認する契機となった。
現代は将来の予測が困難な時代であり、その特徴である変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字を取って「VUCA」の時代とも言われている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響及びロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化は、まさにVUCAの時代を象徴する事態であったと言える。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響としては、ストニィプレインとの姉妹都市交流をはじめとしたグローバルな人的交流の減少や様々な体験活動の機会の減少などの事態が生じた。また、学校の臨時休業により、学校の居場所やセーフティネットとしての福祉的役割を再認識するきっかけとなった。感染拡大当初はICTの活用が十分ではなく、デジタル化への対応の遅れが浮き彫りとなったが、これを契機として遠隔・オンライン教育が町内の小中高全ての学校で進展し、学びの変容がもたらされた。
VUCAの時代を見据えたとき、現時点で予測される社会の課題や変化に対応して人材を育成するという視点と、予測できない未来に向けて自らが社会を創り出していくという視点の双方が必要となる。
予測できる社会の変化としてはまず、人口減少が挙げられ、現在の生産年齢人口である15~64歳の日本の人口は、2050年には現在の2/3に減少すると推計されている。人口減少・高齢化は特に地方において深刻であり、鹿追町においては、生産年齢人口が2045年には1/2に減少し、鹿追町の人口が2030年には5,000人を切ると推計され、このままでは鹿追町の活力や水準の維持が危ぶまれる状況にある。
社会の多様化が進む中、障害の有無や年齢、文化的・言語的背景、家庭環境などにかかわらず、誰一人取り残すことなく、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会の実現を目指し、その実現に向けた社会的包摂を推進する必要がある。
経済先進諸国においては、経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える「ウェルビーイング(Well-being)」の考え方が重視されてきており、経済協力開発機構(OECD)の「ラーニング・コンパス2030(学びの羅針盤2030)」では、個人と社会のウェルビーイングは共通の「目的地」とされている。
また、予測できない未来に向けて自らが社会を創り出していくという視点からは、「持続可能な社会の創り手」という学習指導要領前文に定められた目指すべき姿を実現することが求められる。将来の予測が困難な時代において、一人一人の豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展を実現するために、教育の果たす役割はますます大きくなっている。
これら社会の現状や変化を踏まえた時、教育こそが、社会を牽引する駆動力の中核を担う営みであり、人間中心の社会を支えるシステムとなる時代が到来していると言える。加えて、持続可能な社会のためにはどのような教育であるべきかを論じると同時に、教育のために社会ができることは何か、教育のために鹿追がすべきことは何かを考えることがより重要である。
こうした認識の下、目指すべき社会像の中での鹿追町における教育の在り方と、目指す教育の在り方を実現するための政策を本大綱において示すものである。
2.鹿追町における教育政策に関する総括的な方針
上述の教育をめぐる現状・課題・展望を踏まえ、本町における教育政策の総括的な方針として「持続可能な社会の創り手の育成」及び「ウェルビーイングの向上」を掲げる。両者は今後世界が目指すべき社会及び個人の在り様として重要な概念であり、これらの相互循環的な実現に向けた取組が進められるよう教育政策を講じていくことが必要である。
- (持続可能な社会の創り手の育成)
- グローバル化や気候変動などの地球環境問題、少子化・人口減少、都市と地方の格差などの社会課題やロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化の中で、一人一人のウェルビーイングを実現していくためには、この社会を持続的に発展させていく必要がある。特に少子化・人口減少が著しく、将来にわたって現在の経済水準を維持するためには一人一人の生産性向上と多様な人材の社会参画を促進する必要がある。また、社会課題の解決と経済成長を結び付けて新たなイノベーションにつながる取組を推進することが求められる。Society5.0においてこれらを実現していくために不可欠なのは「人」の力であり、「人への投資」を通じて社会の持続的な発展を生み出す人材を育成していかなければならない。
- こうした社会の実現に向けては、一人一人が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、「持続可能な社会の創り手」になること目指すという考え方が重要である。VUCAの時代において、未来に向けて自らが社会の創り手となり、課題解決などを通じて、持続可能な社会を維持・発展させていくことが求められる。
- (ウェルビーイングの向上)
- ウェルビーイングとは身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含むものである。また、個人のみならず、個人を取り巻く場や地域、社会が持続的に良い状態であることを含む包括的な概念である。ウェルビーイングの実現とは、多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなることであり、教育を通じて日本社会に根差したウェルビーイングの向上を図っていくことが求められる。
- 日本社会に根差したウェルビーイングの要素としては、「幸福感(現在と将来、自分と周りの他者)」、「学校や地域でのつながり」、「協働性」、「利他性」、「多様性への理解」、「サポートを受けられる環境」、「社会貢献意識」、「自己肯定感」、「自己実現」、「心身の健康」、「安全・安心な環境」などが挙げられ、教育を通じてこれらを向上させていくことが重要である。
- 個人のウェルビーイングを支える要素として地域とのつながりや家庭環境、学習環境、学力などがあり、それらの環境整備のための施策を講じていくという視点が重要であり、社会情動的スキルやいわゆる非認知能力を育成する視点も重要である。
- 子供たちのウェルビーイングを高めるためには、教師のウェルビーイングを確保することが必要であり、学校が教師のウェルビーイングを高める場となることが重要である。子供の成長実感や保護者や地域との信頼関係があり、職場の心理的安全性が保たれ、労働環境などが良い状態であることなどが求められる。このことが学びの土壌や環境を良い状態に保ち、学習者のウェルビーイングを向上する基盤となり、結果として家庭や地域のウェルビーイングにもつながるものとなる。
- さらに、生涯学習・社会教育を通じて地域コミュニティを基盤としてウェルビーイングを実現していく視点も大切である。
- また、社会全体のウェルビーイングの実現に向けては、個人のウェルビーイングが様々な場において高められ、個人の集合としての場や組織のウェルビーイングが高い状態が実現され、そうした場や組織が社会全体に増えていくことが必要となる。子供たち一人一人が幸福や生きがいを感じられる学びを保護者や地域の人々とともにつくっていくことで、学校に携わる人々のウェルビーイングが高まり、その広がりが一人一人の子供や地域を支え、さらには世代を超えて循環していくという在り方が求められる。
- 誰もが地域や社会とのつながりや国際的なつながりを持つことができるような教育を推進することで、個人と社会のウェルビーイングの実現を目指すことが重要である。
3.基本的な方針
- 上述の総括的な方針の下、以下の5つの基本的な方針を定める。
- グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
- 誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
- 地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
- 教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- 計画の実効性確保のための基盤整備
1.グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
- (社会の持続的な発展に向けて)
- 将来の予測が困難なVUCAと言われる時代の中で、個人と社会のウェルビーイングを実現していくためには、社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成が必要である。グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)は労働市場に変容をもたらしており、これからの時代の働き手に必要となる能力は変化している。AIやロボットによる代替が困難である、新しいものを作り出す創造力や他者と協働しチームで問題解決するといった能力を生涯にわたっての学びが今後一層求められることが予測され、こうした変化に教育も対応していく必要がある。
- (主体的に社会の形成に参画する態度の育成と価値創造の志向)
- 我が国の子供たちは社会に主体的に参画する意識が低いことが指摘されている。社会の持続的な発展を生み出す人材を養成するためには、自らが社会を形成する一員であり、合意形成を経て自らルールや仕組みを作ることができる存在であるという認識を持つことが重要である。このことはOECDのラーニング・コンパスにおける生徒のエージェンシー(社会的な文脈の中で、変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力)の重視とも軌を一にする方向性である。地域の具体的な課題など実社会における課題解決学習やキャリア教育など、様々な活動を通じて主体的に社会の形成に参画する態度を育成していく必要がある。
- あわせて、社会の持続的な発展のためには、その時代において将来を見通した時に求められる分野の人材を養成することが必要である。現在、デジタルやグリーン(脱炭素など)等がこれからの社会における価値創造にとって重要な分野であることが見通されており、こうした成長分野における人材養成へのシフトを機動的に行っていく必要がある。また、社会経済の課題が多様化・複雑化する中、専門知による課題解決が困難となり、「総合知」の重要性が指摘されている。こうした観点から、初等中等教育では探究・STEAM教育を強化することが求められる。
- (主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニング)
- 令和の日本型学校教育答申において指摘されている「知識の暗記」、「正解主義」への偏りから脱却し、学びの動機付けや幅広い資質・能力の育成に向けて「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を行っていくことは、社会の持続的な発展を生み出す人材養成において不可欠である。
- 学習者を主体として、他者との協働や課題解決型学習などを通じ、深い学習を体験し、自ら思考することを重視する考え方は、初等中等教育のみならず、高等教育や生涯学習・社会教育においても重要である。生涯の人格形成の基礎となる幼児教育や義務教育で培ってきた資質・能力や学習意欲を、後期中等教育、社会教育において損なわずに更に伸長させていくことができるよう、アクティブ・ラーニングの充実などに取り組む必要がある。
- (グローバル人材育成)
- 新型コロナウイルス感染症の感染拡大及びロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化により、世界経済の停滞や国際的分断の進行の懸念が高まっている。こうした中で、グローバルな立場から社会の持続的な発展を生み出す人材として、地球規模の諸課題を自らに関わる問題として捉え、世界を舞台に国際的なルール形成をリードしたり、社会経済的な課題解決に参画したりするグローバル・リーダーや、グローバルな視点を持って地域社会の活性化を担う人材の育成を、地方においても推進していく必要がある。
- 日本や外国の言語や文化を理解し、日本への愛着や誇りを持ちつつ、グローバルな視野で活躍するための資質・能力の育成が求められており、コロナ禍で激減した海外との交流や、より若年段階からの国際的な交流活動の推進、外国人留学生等の受入れ環境、外国語教育の充実などを図っていく必要がある。
- (新たな教育システムとしての一貫教育の推進)
- 鹿追町におけるこれまでの一貫教育は、幼小、小中、中高の様々なギャップによる課題について、町内全ての学校の教職員が連携することで解決をはかってきており、教育の質の向上や効率的な教育リソースの配分といった多くの成果を上げている。
- こうした中、子どもの学びが、前の学年の学びを生かし、効率的に新たな学びにつなげることができるだけでなく、長期的な視点で学びを捉えることができ、子どものキャリアに対するビジョンや目標を確立することを支援するためには、一貫して連続した教育課程の編成が必要である。
- こども園、小学校、中学校、高等学校という既存の教育システムを超えた、幼児児童生徒の成長の一貫性や連続性を確保する新たな教育システムが求められる。
- (持続可能な社会の創り手の育成に貢献するESDの推進)
- 持続可能な開発のための目標(SDGs)の実現に貢献するESDは、現代社会における地球規模課題の諸課題を自らに関わる問題として主体的にとらえ、その解決に向けて自分で考え、行動する力を身に付けるとともに、新たな価値観や行動等の変容をもたらすための教育である。
- ESDの推進はグローバル人材の育成にも資する取組であり、多くの児童生徒学生等がグローバルな環境を体験する機会を与えられることが求められる。
- (多様な才能・能力を生かす教育)
- 近年、海外において多様な才能を有する人物のアイデアにより非連続なイノベーションが創出され、企業価値や行政機能が高められた事例が注目されている。これまでの同一年齢で同一内容を学習することを前提とした教育の在り方に過度にとらわれず、個々に最適な学びを提供するとともに、知識の暗記や画一的な教育による弊害を排し、同質ではなく異質なものとの融合こそがイノベーションを生み出すとの発想の下、多様な才能・能力を生かす教育を行っていくことが求められる。
- (地域・産学官連携、職業教育)
- 地域が持続的に発展していくためには、その地域への愛着・誇りを持ち、仕事を通じて経済的に自立し、地域の課題解決に主体的に参加する人材を育成することが必要である。また地域住民同士が相互につながり、かかわりあう関係を築いていくことが求められる。
- そのためには、学校を地域や社会に対して開いていくことが重要であり、小中高等学校等においてコミュニティ・スクールや地域学校協働活動、探究活動、キャリア教育・職業教育等を通じ、地域や産業界などと連携するとともに、教育実践への協力を得ていくことが求められる。また、起業家教育(アントレプレナーシップ教育)をあらゆる学校段階で推進していくことが求められる。
- 学校と地域との連携を推進していくためには、人と人、組織と組織をつなぎ、拡げていく機能が重要となる。そのためのコーディネーター人材の育成や、コンソーシアムによる組織間の連携が求められる。
- (マルチステージの人生生涯にわたって学び続ける学習者の育成)
- 人生100年時代は、同一年齢での単線的な学びや進路選択を前提とした人生のモデルから、一人一人の学ぶ時期や進路が複線化する人生のマルチステージモデルへと転換することが予測されている。こうした社会の構造的な変化に対応するため、学校教育における学びの多様化とともに、社会人の学び直し(リカレント教育)をはじめとする生涯学習の必要性が高まっている。職業に直結した学びのほかにも、ライフステージの変化(例えば結婚、出産、育児、介護、病気、退職など)に応じて生じる様々な悩みの中で、「人生を豊かにするための学び」や「他者との学びあい」を身近なものとすることが重要である。また、高齢者を年齢によって画一的に捉えることなく、第二の人生を生きる個人の意欲や能力を活かすエイジフリーな社会に対応した学習機会の確保も重要である。
- 生涯学習社会を実現するためには、まず、生涯にわたって学び続ける学習者としての基盤を学校教育等において培うことが重要である。初等中等教育等において、学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解することや、興味・関心を喚起する学びを提供することなどにより、学びを習慣化し、生涯にわたって能動的に学び続けるための態度を涵養することが重要である。
- また、生涯学習の推進に当たっては、ICTの活用などによる柔軟な学習機会の一層の充実を図る必要がある。さらに、学校教育と社会教育が連携することも重要であり、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進により、学校と地域住民が連携・協働することで、子供たちの学びの場を学校から地域社会に広げ、次世代の社会の担い手としての成長を支えていくことが求められる。
- (リカレント教育を通じた人材育成)
- 我が国は諸外国と比べて労働生産性の低さが課題となっているが、その一因として、大人になってから大学等において学ぶ学生の割合が低く、社外学習や自己啓発を行っていない社会人が諸外国と比べて突出して多いことが報告されている。社会の持続的な発展を支える観点からも、リカレント教育を通じて、複雑化・高度化する企業課題や産業ニーズに対応して自らの知識や技能をアップデートできる高度専門人材を育成していくというリスキリング的な視点も重要である。
2.誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
- (共生社会の実現に向けた教育の考え方)
- 一人一人の多様なウェルビーイングの実現のためには、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す学びを、学校をはじめとする教育機関の日常の教育活動に取り入れていく必要がある。
- 近年、いじめの重大事態の発生件数や児童生徒の自殺者数は増加傾向であり、憂慮すべき状況である。また、不登校児童生徒数が増加しており、個々の状況に応じた適切な支援が求められている。特別支援教育を受ける障害のある子供は近年増加傾向にあり、医療的ケア児や病気療養中の子供、ヤングケアラー、貧困など、子供の抱える困難は多様化・複雑化している。また、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援の必要性も高まっている。
- 誰一人取り残さず、相互に多様性を認め、高め合い、他者のウェルビーイングを思いやることができる教育環境を個々の状況に合わせて整備することで、つらい様子の子供が笑顔になり、その結果として自分の目標を持って学習等に取り組むことができる場面を一つでも多く作り出すことが求められる。
- また、一人一人のニーズに合わせた教育資源の配分を行うという「公平、公正」の考え方も重要となる。「多様性」、「包摂性」に「公平、公正」を加え頭文字を取ったDE&I(Diversity、Equity and Inclusion)の考え方も重視されてきている。
- 一人一人が多様な他者を理解・尊重し、包摂的な社会を築いていくためには、例えば障害の有無にかかわらず共に学ぶ「交流及び共同学習」や、国内外において外国人児童生徒学生等と交流する留学・異文化交流・国際理解教育、地域で子供が交流・協働するキャリア教育・職業教育など、自らとは異なる立場や地域にいる人々と接する機会や異なる環境に身を置く機会を持つことが重要である。
- これまで学校では「みんなで同じことを、同じように」することを過度に要求され、「同調圧力」を感じる子供が増えてきたことが指摘されている。異なる立場や考え、価値観を持った人々同士が、お互いの組織や集団の境界を越えて混ざり合い、学び合うことは、「同調圧力」への偏りから脱却する上で重要であり、学校のみならず社会全体で重視していくべき方向性である。また、そのことを可能にするための土壌として、「風通しの良い」組織・集団であることが大切である。加えて、これまでの同一年齢で同一内容を学習することを前提とした教育の在り方に過度にとらわれず、日本型学校教育の優れた蓄積も生かして、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実していくことも重要である。
- こうしたことを通じて、一人一人が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重する共生社会を実現していくことが求められる。また、組織や集団における多様性の尊重は、イノベーション創出にもつながる重要な考え方である。
- (共生社会の実現に向けた教育の方向性)
- 令和の日本型学校教育答申で提言された「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」は、多様な子供の状況に応じた学びを進めるとともに、多様な他者と学び合う機会を確保するものであり、共生社会の実現に向けて必要不可欠な教育政策の方向性である。こうした目指すべき教育の方向性を共生社会の実現という観点から改めて捉え直し、教育に携わる者が共有した上で、日常の教育の営みの中に取り込んでいかなければならない。
- その際、飛躍的に整備されたICT環境を効果的に活用していく必要がある。GIGAスクール構想による1人1台端末や高速通信ネットワーク環境の整備などにより、距離や場所、時間の制約が取り払われ、様々な国や地域との交流が容易になるとともに、へき地における教育環境の充実や登校できない子供の学びや交流の機会の充実が可能となっている。また、デジタルの特性を生かした障害のある子供のアクセシリビリティの向上も期待される。ICTを活用した新たな取組の実践を通じて、一人一人の状況やニーズに応じたより良い教育環境を目指していく必要がある。
- 児童生徒に対する生徒指導は、学習指導と並んで、共生社会実現に向けた資質・能力の育成に重要な意義を有するものである。児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことが尊重され、その過程を学校や教職員が支えていくという発達支持的生徒指導を重視していくことが求められる。また、児童生徒が将来において社会的な自己実現ができるような資質・能力・態度を形成するように働きかけるための教育相談も、生徒指導と一体化させ、全教職員が一致して取組を進めることが求められる。
- コロナ禍によりその機会が減少した様々な体験活動(自然体験活動、社会体験活動、文化芸術活動等)は、自己肯定感や協調性、主観的幸福感など、ウェルビーイングの向上に資するものであって、体験を通して他者と協働することにより共生社会の実現にもつながる意義を有するものであり、その機会の充実を図っていくことが求められる。また、児童生徒等の心身の健やかな育成に向けた学校保健、スポーツ活動、豊かな感性を育む読書活動の推進も重要である。
- あわせて、個人と社会のウェルビーイングの実現の観点からは、保護者や地域住民等が学校運営に当事者として参画するコミュニティ・スクールや、地域住民等の参画により地域と学校が連携・協働する地域学校協働活動を一体的に推進し、教育のための社会と社会のための教育を実現するとともに、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チームの活動を推進していくことが効果的である。高等学校段階では地域連携プラットフォームなどにより、生徒と地域との協働を進めていくことが求められる。学び手、学校、保護者・地域住民等が「三方よし」となり、それぞれのウェルビーイングが高まるよう三者が一体となって取組を推進することが求められる。
3.地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
- (生涯学習社会の実現)
- 生涯学習は、一人一人が豊かな人生を送ることができるよう、個人の自発的意思に基づいて行うことを基本として、生涯を通じて行うものである。教養を高め、多様な人々と出会い、自己実現を図るための学習は、長寿化が進展する人生100年時代において、生涯を通じたウェルビーイングの実現につながる重要な意義を有するものである。子供や若者、社会人、高齢者など、年齢を問わず学び続け、生涯学習を通じて自らの向上や地域や社会への貢献の意欲を持ち、当事者として地域社会の担い手となる人を尊重する社会が目指されるべきであり、そのために社会教育が果たす役割は大きい。
- (社会教育を通じた持続的な地域コミュニティの基盤形成)
- 地域において人々の関係を共感的・協調的なものとするためには、社会教育による「学び」を通じて人々の「つながり」や「かかわり」を作り出し、協力し合える関係としての土壌を耕しておくことが求められる。こうして形成された地域の人々の関係は持続的な地域コミュニティの基盤となり、ひいては社会全体の基盤となる。「人づくり・つながりづくり・地域づくり」の循環が生み出されることにより、地域コミュニティにおける個人と地域全体のウェルビーイングの向上がもたらされる。地域で人と人とのつながりを作り、協調的な幸福感を紡ごうと取り組んでいる人たちが自信と誇りを持つことができるようにしていく必要がある。
- このため、前述したコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進など、社会教育の充実による地域の教育力の向上や地域コミュニティの基盤強化を図ることが求められる。
- (公民館等の社会教育施設の機能強化、社会教育人材の養成と活躍機会の拡充)
- 公民館や図書館等の社会教育施設は、社会教育の拠点として、自らが果たす役割を明確化することが求められている。それにあたっては、地域住民の意向を運営に取り入れることなどにより、機能強化を図ることが重要である。その際、貧困の状態にある子供、障害のある方やその家族、社会的に孤立しがちな若者や高齢者など、困難な立場におかれている人々の社会的包摂の観点からの対応が求められる。
- また、社会教育施設には、オンラインによる講座等の受講機会の拡充やデジタル教育の充実とともに、住民同士が対面によりつながりを持てる機会の充実も求められる。あわせて、学校施設との複合化や、文教施設を官民連携で整備することも、地域コミュニティの拠点を形成する上で重要である。
- 社会教育に対するニーズが高まる中、地域において社会教育活動を支える社会教育主事及び社会教育士の役割はその重要性を増している。社会教育主事や社会教育士の配置や活躍機会の拡充に向けた取組を推進することが必要である。
4.教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- (DXに至る3段階)
- 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、世界全体にデジタル化の飛躍的進展をもたらした。今後、社会全体のDXが加速していく中で、教育の分野においてICTを活用することが特別なことではなく「日常化」するなど、デジタル化を更に推進していくことが不可欠である。
- GIGAスクール構想による1人1台端末の実現をはじめ、全国の小中高等学校等におけるICT環境整備は飛躍的に進展した。これにより第1段階の「デジタイゼーション(紙の書類などアナログな情報をデジタル化すること)」の準備は整ったところである。今後は、全ての学校において第1段階を着実に実行しつつ、当面、第3段階の「DX(デジタル化でサービスや業務、組織を変革すること、例えば教育データに基づく教育内容の重点化と教育リソースの配分の最適化など)」を見据えながら、全国すべての学校で、第1段階から第2段階の「デジタライゼーション(サービスや業務プロセスをデジタル化すること、例えば紙の教材を組み合わせている現状から、デジタル教材のリコメンドを参考に教材の最適な選択を行うことができるようになること)」への移行を着実に進めることが求められる。
- DXの推進に当たっては、デジタル機器・教材の活用はあくまで手段であることに留意することが必要である。教育DXを進めた上で、デジタルも活用して問題解決や価値創造ができる人材の育成こそが目指されるべきである。
- (各段階における教育DXの推進)
- 初等中等教育においては、学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力を育成するとともに、そのための教師の指導力向上・ICT環境整備の更なる充実が求められる。また、デジタル教科書・教材・ソフトウェアの活用に向けた取組の推進、クラウド活用による次世代の校務DXを通じた教育データの利活用や学校における働き方改革にも取り組む必要がある。
- 生涯学習においては、遠隔・オンライン教育の活用による受講の利便性の向上や学習履歴の可視化におけるデジタル技術の活用を推進すべきである。また、公民館や図書館等の社会教育施設におけるデジタル基盤の強化やデジタル教育の充実も求められる。
- これらの取組の推進に当たっては、デジタル社会の正負の側面にも留意しつつ、デジタルリテラシーを身に付け、自分で考え行動できる力を育むことも求められる。
- また、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出すための教育を実現する観点から、遠隔・オンライン教育やデジタル機器の機能を最大限に活用して誰もが質の高い教育を受ける機会を確保することが重要である。
- データの利活用に当たっては、個人情報の保護とデータの活用のバランスが問題となる。今後、DXの推進により更に充実した指導や支援が提供されていくことに鑑みれば、安心・安全を確保した上で、よりデータの利活用を図っていく方向で検討を進めるべきである。その際、保護者等に対するデータ利活用のメリットや技術的な安全性等についての説明を行うことにより理解を得ていくことが求められる。
- (デジタルの活用とリアル(対面)活動の重要性)
- 小中高等学校においては、従来の教師による対面指導に加え、一斉学習や個別学習、協働学習など様々な学習場面においてICTを活用することや、目的に応じ遠隔授業やオンデマンドの動画教材を取り入れるなど、子供の主体的な学びを支援する伴走者としての教師の役割を果たしつつ、リアルとデジタルを融合した授業づくりに取り組むことが考えられる。その際、教科内のみならず学校教育活動全体の中でのリアルとデジタルの組み合わせの検討や、デジタル教科書・教材・ソフトウェアの活用も重要である。さらに、学校で学びたくても学べない児童生徒への遠隔・オンライン教育や、個々の才能を伸ばすための高度な学びへの対応など、デジタルの利点を生かした活用も考えられる。
- 一方、コロナ禍においては、子供たちのリアルな体験機会が大きく減少しており、地域や企業と連携・協働して、リアルな体験活動の機会を充実させていくことも必要である。
5.計画の実効性確保のための基盤整備
- (経済的状況によらず学びの機会を確保するための支援)
- 子供たちの学びの経済的支援については、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない支援により、希望する誰もが質の高い教育を受けられるための環境整備が求められる。
- (指導体制・ICT環境等の整備)
- 近年、子供たちが抱える困難が多様化するとともに、情報活用能力など新たな能力育成の要請等もあり、我が国の教師の仕事時間は国際的に見て長くなっていることに加え、教師不足の問題が顕在化している。学校における働き方改革の更なる推進とあわせて、指導体制の整備等を通じ、教職の魅力の向上を図る必要がある。その際、多様化する困難等に対し「チ―ム学校」として対応するためには、学習支援員やスクールカウンセラー等の支援スタッフの役割も重要である。
- 加えて、ICT環境の充実は不可欠であり、1人1台端末の持続的な活用やネットワーク環境の更なる改善に取り組むとともに、校務のDX、GIGAスクール運営に係る体制の強化、教師のICT活用指導力の向上等、GIGAスクール構想を更に推進していく必要がある。
- さらに、学校教育の成否を左右する教師について、その質の向上を図るため、教師の個別最適な学びや協働的な学びを支える仕組みを構築する必要がある。
- (NPO・企業等多様な担い手との連携・協働)
- 「自前主義からの脱却」は学校段階を通じて今後重要となる学校経営の方向性である。学校外の多様な担い手による学びの提供や多様な支援体制の確保は子供たちのウェルビーイングを育む上で重要な役割を果たす。不登校の児童生徒や引きこもりの青少年の支援などに取り組むNPO法人、子供たちの体験活動の機会提供やICT教育支援を行う企業、部活動を支える地域のスポーツ及び文化芸術団体など、多様な担い手と学校との連携・協働を推進すべきである。
- その際、地域によっては学校外の多様な担い手が十分に確保できない状況もあり、連携・協働の広がりを通じて担い手の育成・確保を図るという視点やICTの活用を組み合わせて取り組んでいくことも重要である。
- また、医療・保健・福祉機関、警察・司法との連携により、子供の健康や安全を守るための取組を引き続き推進する必要がある。
- (安全・安心で質の高い教育研究環境の整備、社会教育施設等の整備)
- 新しい時代として、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実や、社会変化に対応してデジタルやグリーン、ウェルビーイングや共生社会等を推進するためには、安全・安心で質の高い教育研究環境の確保が重要である。長寿命化改修をはじめとした計画的な老朽化対策や防災機能強化を行うとともに、脱炭素化やバリアフリー化、地域との連携・共創拠点等の観点から環境整備を推進する必要がある。
- また、質の高い学びを実現するため、学校図書館や教材の整備の充実を図る必要がある。社会教育施設については、利用者の学習機会の充実の観点から、デジタル基盤を強化することが求められる。
- (児童生徒等の安全確保)
- 組織的・実践的な安全対策に取り組むセーフティプロモーションスクールの考え方を取り入れ、全ての児童生徒等が、自ら適切に判断し、主体的に行動できるよう、安全に関する資質・能力を身に付けるとともに、学校安全に関する組織的取組の推進、家庭・地域・関係機関等との連携・協働、学校における安全管理の取組の充実等を推進する必要がある。
4.基本的な政策
上述で示された総括的な方針や基本的な方針を踏まえ、実行ある教育政策を進めていくために、以下の基本的な政策を示す。
政策1 グローバル社会における人材育成
伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度、豊かな語学力、異なる文化・価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力、新しい価値を創造する能力、主体性・積極性・包摂性、異文化・多様性の理解や社会貢献、国際貢献の精神等を身に付けて様々な分野・地域で国際社会の一員として活躍できる人材を育成する。
【施策】
- 義務教育における国際バカロレア認定
- グローバルに活躍する人材育成のための、義務教育における国際バカロレアの認定
- 外国語教育の充実
- 外国語でコミュニケーションを図る資質・能力を着実に育成するための、指導の改善・ICTの一層の活用促進
- ALTの特別免許状取得や専科教員による学校指導体制の充実
- 小学校低学年生活科におけるイマージョンプログラムの実施
- 高等学校の国際化
- グローバル化に対応した素養・能力を育むための、北海道鹿追高等学校における国際バカロレア認定などへの支援
- カナダ姉妹校提携に向けた支援
- 外国人教員・留学生の受入環境整備
- 鹿追町におけるグローバル人材の育成
政策2 イノベーションを担う人材育成
複雑かつ困難な社会課題の解決や持続的な社会の発展に向けて、新たな知を創り出し、多様な知を持ち寄って「総合知」として活用し、新たな価値を生み出す創造性を有して既存の様々な枠を越えて活躍できる、イノベーションを担う人材を育成する。
【施策】
- 探究教育の充実
- 児童生徒が主体的に課題を自ら発見し、多様な人と協働しながら課題を解決する探究学習の充実を図るための、義務教育における国際バカロレアの認定
- 鹿追高校の「鹿追創生プロジェクト」など、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた、先進的なグローバル教育、産業界と一体となった実践的な教育等への支援
- 生徒の探究力の育成に資する取組を充実・強化するための支援
- 探究・アントレプレナーシップ(起業家教育)を支える企業や機関等との連携・支援
- アントレプレナーシップの推進
- 児童生徒の発達段階に応じた、各教科等の授業における起業への理解促進や起業体験活動の推進
- イノベーションを担う人材育成
- 福原治平青少年育成事業基金を活用した青少年の人材育成支援
- 鹿追高校の「地域みらい留学」への支援
政策3 主体的に社会の形成に参画する態度の育成・規範意識の醸成
公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度、規範 意識、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度などを養う。
【施策】
- 児童生徒のエージェンシー(当事者意識)の育成
- 児童生徒のエージェンシーの育成を目標とした教育活動の取組
- 合意形成を経て自らルールや仕組みを作る「与えない教育」への転換
- 身近な課題を自分たちで解決する経験を積む、子供の主体性を育む取組
- 持続可能な開発のための教育(ESD)の推進
- 現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、持続可能な社会の実現を目指す学習活動・教育活動の推進
- 環境教育の推進
- 初等中等教育学校におけるとかち鹿追ジオパークと連携した環境教育への支援
- 自然体験活動や農山村体験などの体験活動の推進
- 脱炭素社会の実現に向けた、学校教育・社会教育施設のZEB化
- 脱炭素社会の実現に向けた、町民の環境教育の推進
政策4 生涯学び、活躍できる環境整備
人生100年時代を見据え、全ての人のウェルビーイングの実現のためにも、人生の各場面で生じる個人や社会の課題の解決につながる学習機会が保障され、学ぶことで充実感を得て継続的な学びにつながるよう、生涯学び、活躍できる環境を整備する。多様な世代への情報提供や学習成果の可視化、仲間とつながりながら学ぶことができる環境整備を図る。
【施策】
- 働きながら学べる環境整備
- 人生100年時代のマルチステージモデルに対応したリカレント教育の充実
- エイジフリーな社会に対応したリカレント教育のための経済支援・情報提供
- 「マナパス」の利用促進と学習成果の可視化
- 現代的・社会的な課題に対応した学習等の推進
- 男女共同参画社会の形成の促進、人権、環境保全、消費生活、金融、食、地域防災・安全、海洋等についての学習機会の充実
- 教育機関や関係団体との連携・協働による消費者教育の推進
- 高齢者の生涯学習の推進
- 高齢者を含め、全ての人々が、地域において、世代を超えて互いに交流しながら、 地域や暮らし、各々の生きがいを共に創り、高め合う「地域共生社会」の実現
- 多様な技術・経験を有するシニア層の取組を生かした環境の整備
- 社会教育施設における高齢者等のデジタルデバイドの解消を図る取組
- 生涯を通じた文化芸術活動の推進
- 年齢や障害の有無に関わらず、生涯を通じて文化芸術を鑑賞したり体験したりすることができる美術館等の機能強化
政策5 確かな学力の育成、幅広い知識と教養・専門的能力・職業実践力の育成
学校段階間・学校種間及び学校と社会との連携・接続を図りつつ、各学校段階を通じて、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性等の確かな学力の育成、幅広い知識と教養、専門的能力、職業実践力の育成を図る。その際、初等中等教育段階においては、同一年齢・同一内容の学習を前提とした教育の在り方に過度にとらわれず、多様な個々の状況に応じた学びの実現を目指す。
- 【施策】
- 個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実
- 一人一台端末等活用した児童生徒への学習指導・生徒指導等の改善
- 同一年齢で同一内容を学習することにとらわれない個々に最適な学びの実現
- 教科書、教材、関連ソフトウェアの活用
- 学校内外の環境整備
- 新しい時代に求められる資質・能力を育む学習指導要領の実施
- 「知識の暗記」「正解主義」への偏りからの脱却
- 言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力の育成
- 主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善の推進
- カリキュラム・マネジメントの確立
- 幼児教育と小学校教育の接続の改善に向け、幼保小の関係者が連携したカリキュラムの開発・実施
- 幼児教育の質の向上
- 幼児教育の内容の改善・充実
- 幼児教育期における非認知能力の育成、国際バカロレア認定
- 高等学校教育支援
- 探究教育、先進的なグローバル教育、産業界と一体となった実践的な教育等を通じ、北海道鹿追高等学校の特色化・魅力化促進への支援
- 鹿追高等学校に通う家庭の経済的支援の充実
- 国際バカロレア認定に向けた支援
- 高校、地域、行政機関等との連携協力体制の構築を担うコーディネーターの配置
- 公設塾における生徒の多様な学習ニーズへのきめ細かな対応の充実
- カナダ姉妹校提携に向けた支援
- キャリア教育・職業教育の充実
- 幼児期の教育から中等教育まで各学校段階を通じた体系的・系統的なキャリア教育の推進
- 初等中等教育段階における「キャリア・パスポート」の活用
- 地学協働コンソーシアムの設置による、学校と地域が連携し、インターンシップをはじめとする生徒のキャリア形成支援
- 学校段階間・学校と社会の接続の推進
- 鹿追町幼小中高一貫教育の特色あるカリキュラム編成や指導体制の在り方等に関する情報発信
政策6 多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂
障害や不登校、日本語能力、特異な才能、複合的な困難等の多様なニーズを有する子供たちに対応するため、社会的包摂の観点から個別最適な学びの機会を確保するとともに、全ての子供たちがそれぞれの多様性を認め合い、互いに高め合う協働的な学びの機会も確保することなどを通して、一人一人の能力・可能性を最大限に伸ばす教育を実現し、ウェルビーイングの向上を図る。教育資源の配分を行う際、一律の「平等主義」からDE&Iの考え方を重視する。
【施策】
- 特別支援教育の推進
- 障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備
- 一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備
- 個別の教育支援計画・個別の指導計画の活用や合理的配慮の提供
- 本人や保護者の意向を最大限尊重した適切な就学先の決定
- 全ての教職員が障害や特別支援教育に係る理解を深める取組
- 医療的ケアが必要な児童生徒等について、保護者の付添いがなくても安全・安心に学校で学ぶことができる取組
- 障害のある児童生徒等が支障なく安心して学校生活を送ることができるための、学校施設のバリアフリー化
- 不登校児童生徒への支援の推進
- 不登校児童生徒の多様な教育機会の確保による「誰一人取り残さず、すべての人の可能性を引き出すための教育」の実現
- ICT等を活用した学習支援等を含めた教育支援センターの機能強化等による社会的自立のための支援の充実
- 子育て支援課による居場所づくりの取組と連携した、「学び」と「育ち」の双方の観点からのアウトリーチ型支援の推進
- ヤングケアラーの支援
- 子育て支援課と連携した、早期発見に向けた取組の推進と適切な支援
- 子供の貧困対策
- 経済状況に関わらず質の高い教育を受けられるよう、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない教育費負担の軽減
- 教育相談体制の整備
- スクールカウンセラーを活用した「チーム学校」による学校の教育相談体制の質的・量的充実
- 課題を把握した児童生徒に対する教育支援センターによるプッシュ型支援の体制整備
政策7 豊かな心の育成
子供たちの豊かな情操や道徳心を培い、正義感、責任感、自他の生命の尊重、他者への思いやり、自己肯定感、人間関係を築く力、社会性などを育み、子供の最善の利益の実現と主観的ウェルビーイングの向上を図るとともに人格形成の根幹及び民主的な国家・社会の持続的発展の基盤を育む。
【施策】
- 主観的ウェルビーイングの向上
- 学校教育活動全体を通じた子供たちのウェルビーイングの向上
- いじめ等への対応、人権教育の推進
- いじめ防止対策推進法等の普及浸透、取組の徹底
- いじめの積極的な認知、早期の組織的対応、関係機関等との連携を推進するためのいじめ防止対策の強化
- 「ネットいじめ」に関する対策の推進
- 学校・教育委員会と警察等の関係機関との連携・協力の促進
- 児童生徒の自殺防止に向けた取組の推進
- 体罰や暴言等の不適切な指導等の根絶
- 学校における人権教育の取組
- 発達支持的生徒指導の推進
- 改訂生徒指導提要を踏まえた生徒指導の実践
- 全ての児童生徒が自発的・自主的に自らを発達させていくことを尊重した支持的生徒指導の実践
- 生命の安全教育の推進
- 学校等における「生命(いのち)の安全教育」による性犯罪・性暴力の加害者、被害者、傍観者の根絶
- 体験活動・交流活動の充実
- 自然体験活動や集団宿泊体験活動などの様々な青少年の体験活動の充実
- 自然体験活動、農山村体験活動、国際交流活動、地域間交流活動等の充実
- 読書活動の充実
- 不読率の低減
- 町立図書館と学校の連携による学校図書館の整備充実
- 子供の読書活動の推進
- 青少年の健全育成
- 情報モラルを含む情報活用能力の育成
- 家庭における適切な生活習慣の定着に向けた取組の推進
- インターネット利用に関する「親子のルールづくり」 など家庭等での生活習慣を見直す取組
- 文化芸術による子供の豊かな心の育成
- 小・中学校等と美術館等との連携・協力による、文化芸術教育や体験機会の確保
- 子供たちが一流の文化芸術に触れる機会や、地域の伝統や文化に触れる機会の提供
- 文化部活動の地域連携や地域文化クラブ活動への移行
政策8 健やかな体の育成、スポーツを通じた豊かな心身の育成
生涯にわたって運動やスポーツに親しむ資質・能力を育成するとともに、生活習慣の確立や学校保健、食育の推進等により、心身の健康の増進と体力の向上を図る。
【施策】
- 運動部活動改革の推進と身近な地域における子供のスポーツ環境の整備充実
- 運動部活動の地域連携や地域スポーツクラブ活動への移行
- スポーツ少年団の体制強化等の推進による、地域における子供のニーズに応じた多種多様なスポーツの実施
- 食育の推進
- 地産地消を推進する食育の取組
- 体育・スポーツ施設の整備充実
- 地域における誰もがスポーツを行いやすくするための地域のスポーツ施設の整備
- 学校体育施設の有効活用の推進による、地域の実情に応じた身近なスポーツの場づくりの促進
- スポーツを通じた健康増進
- スポーツを通じた町民の心身の健康増進と、健康長寿社会の実現
- スポーツを通じた共生社会の実現
- 「する」「みる」「ささえる」スポーツ環境の整備による、スポーツを通じた共生社会の実現
政策9 地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進
地域コミュニティの基盤強化に向けて、地域住民の学びの場である社会教育施設の機能強化や社会教育人材養成等を通じ、社会教育を推進する。
【施策】
- 社会教育施設の機能強化
- 公民館における地域のコミュニティ拠点機能の強化
- 子供の居場所としての活用、住民相互の学び合い・交流の促進、関連施設・施策や民間企業等との連携
- 地域住民からの外部評価を活用した運営の改善、公民館等の社会教育施設への社会教育士などの専門職の配置
- 社会教育人材の養成・活躍機会拡充
- 行政職員や地域学校協働活動推進員、NPO や企業等における地域の課題解決に取り組む多様な人材が社会教育士の称号を取得することへの支援
- 地域課題の解決に向けた関係施設・施策との連携
- コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進や地域における家庭教育支援の充実
- 社会教育施設の活性化と社会教育の施策と、福祉、防災、農山村振興等の関連施策との連携
政策10 地域・学校・家庭の連携・協働の推進による地域の教育力の向上
地域・学校・家庭が連携・協働することにより、地域社会との様々な関わりを通じて子供たちが安心して活動できる居場所づくりや、地域全体で子供たちを育む学校づくりを推進する。
【施策】
- コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進
- 地域学校協働活動推進員の効果的な配置
- まちづくりといった課題解決のためのプラットフォームにもなり得る学校を核とした地域づくりの推進
- 地域人材ネットの整備とその活用
- 校長の社会教育主事の取得支援
- 家庭教育支援の充実
- 子育て支援課と連携した家庭教育支援チームの推進
- 部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行
- 部活動の地域連携や地域スポーツ・文化クラブ活動移行に向けた環境の一体的な整備
政策11 教育DXの推進・デジタル人材の育成
教育においてICTの活用が「日常化」するよう、初等中等教育段階では、当面DXの第3段階を見据えながら、第1段階から第2段階への移行を着実に進めるとともに、高等教育におけるデジタル人材育成、社会教育分野のデジタル活用推進等に取り組む。
【施策】
- 社会教育分野のデジタル活用推進
- 誰一人として取り残されない、デジタル社会の実現
- デジタルデバイド解消など、全ての世代のデジタルリテラシーの向上
- 児童生徒の情報活用能力の育成
- 情報モラルを含む情報活用能力の育成
- 教師の指導力向上
- 情報モラル教育を含む情報活用能力育成のための教師の指導力向上
- 校務DXの推進
- 教職員が場所を選ばず校務を処理できる環境の普及
- 校務系・学習系・行政系データの連携・分析・利活用による学習指導・学校経営の高度化・効率化
政策12 指導体制・ICT環境の整備、教育基盤の強化
魅力ある優れた教師の確保・資質能力の向上や、学校における働き方改革、ICTの活用、学校の指導体制の強化、 支援スタッフとの連携・分担体制の構築等を通じて、教師が教師でなければできないことに注力できる体制を整備し、教職の魅力向上、教師のウェルビーイングの向上を目指す。
【施策】
- 教師の資質能力の向上
- 日本一の教職員集団の形成
- 優秀な教職員の表彰
- 教職員による不適切な服務上の問題への厳正な対応
- 教職員のメンタルヘルス対策の促進
- 学校における働き方改革の推進
- 教師でなければできないことに注力できる働き方改革の取組
- 職場の心理的安全性の確保
- 教員業務を支援するスタッフの配置
- 校務のデジタル化等の学校DXの推進
- 教員のリカレント教育への支援
- 指導体制の整備
- 校長のマネジメント能力の育成
- 特別支援免許保有者による特別支援学級の担当
- 中学校との連携を含めた、小学校高学年における教科担任制の推進
- 地方教育行政の充実
- 教育行政への多様な人材の参画
政策13 経済的状況、地理的条件によらない学びの確保
家庭の経済状況や地理的条件によらず、教育を受けられるよう、教育費負担の軽減を図るとともに、極小規模校における学びの支援を行う。
【施策】
- 教育費負担の軽減に向けた経済的支援
- 義務教育段階における給食費の無償化の継続
- 鹿追高等学校に通う家庭への入学、通学、寮生活の経済的支援
- 高等教育の修学支援制度の実施
- 小規模校における学びの支援
- デジタルを活用した遠隔合同学習等の取組の支援による小規模校の社会性育成機能の強化
- 幼小中高の教職員が連携した学びの多様性による小規模校の一貫教育の充実
政策14 NPO・企業・団体等との連携・協働
NPOや企業、地域団体等との連携・協働により、学校外の多様な担い手による学びの提供や多様な支援体制の確保を図り、学びの多様化や地域等と一体となった活動を推進する。
【施策】
- NPO・企業との連携
- NPO・企業と連携した起業体験や、地域を支える人材育成のためのインターンシップの実施
- 教育機関、町、産業界を巻き込んで、将来像の議論や連携、交流の企画を行う地域連携プラットフォームの構築
- スポーツ・文化芸術団体との連携
- 部活動の地域連携や地域スポーツ・文化クラブ活動への移行に向けた環境の一体的な整備
- 医療・保健・福祉機関との連携
- 児童生徒に対する切れ目ない包括的支援の充実
- 警察・司法との連携
- いじめについての警察との連携、過剰要求等についての法務相談の実施
政策15 安全・安心で質の高い教育研究環境の整備、児童生徒等の安全確保
学校施設について、安全・安心を確保しつつ新しい時代の学びを実現するため、教育環境向上と老朽化対策の一体的な整備等を進めるとともに、教材、学校図書館、社会教育施設等の学校内外における教育環境を充実する。また、子供たちが安心・安全に学校生活を送ることができるよう、学校安全を推進する。
【施策】
- 学校安全の推進
- セーフティプロモーションスクールの考え方を取り入れた学校安全に関する組織的取組の推進
- 家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進
- 学校における安全教育、学校における安全管理の取組
- 災害が生じた際の学校安全の確保、学校施設の防災機能強化、防災教育の充実
- スクールバスの置き去り防止安全装置の設置
- 学校施設の整備
- 計画的な長寿命化、ZEB化改修等を通じて、教育環境向上と老朽化対策の一体的な整備の推進
- 避難所ともなる学校施設の防災機能強化や水害対策等
- 学校における教材等の充実
- 「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づく、図書の整備、新聞の配備、学校司書の配置
- 町立図書館をはじめとした各機関や地域との連携等による学校図書館の整備充実