障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。

平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置付けられ、すべての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。

学びの場の種類と対象障害種

障害のある子供の学びの場については、障害者の権利に関する条約に基づく「インクルーシブ教育システム」の理念の実現に向け、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行うとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう通常の学級や通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の整備を行っています。鹿追町内では、令和4年現在、特別支援学級(知的、肢体不自由、病弱、弱視、難聴、言語、自閉・情緒)が設置されています。

  1. 特別支援学校
    障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること目的とする学校。
    【対象障害種】
    視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)
    ⇨北海道内の特別支援学校(北海道立特別支援教育センター)http://www.tokucen.hokkaido-c.ed.jp/index.php?page_id=46
  2. 特別支援学級
    小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級。
    【対象障害種】知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者
  3. 通級による指導
    小学校、中学校、高等学校等において、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を行う指導形態。
    【対象障害種】言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者
  4. 通常の学級
    小学校、中学校、高等学校等にも障害のある児童生徒が在籍しており、個々の障害に配慮しつつ通常の教育課程に基づく指導を行っています。

インクルーシブ教育システムとは

障害者権利条約によれば、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な機能等を最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。(中教審初中分科会報告平成24年7月より)

少人数学級編制

障害のある子供に対し、多様な学びの場において、少人数の学級編制、特別の教育課程等による適切な指導及び支援を実施しています。

特別支援学校の小学部及び中学部では1学級の児童生徒の数の基準は6人、高等部では1学級の生徒の数の基準は8人を標準として、教育委員会が教員の配置について決定しています。なお、障害を二つ以上併せ持つ児童生徒で学級を編制する場合の児童生徒数の基準は3人となります。

特別支援学級の1学級の児童生徒の数の基準は8人となります。また、小学校、中学校等で通級による指導が行われている場合、児童生徒13人につき1人の教諭が配置されることとなっております。

就学先の決定

障害のある児童生徒の就学先については障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育体制の整備の状況や、本人・保護者の意見、教育学・医学・心理学等の専門家の意見等を踏まえた総合的な観点から教育委員会が決定する仕組みとなっております。

鹿追町では、特別支援学級の在籍を新たに希望する場合、就学ガイダンスと就学相談を受けていただいています。必要な教育的支援について総合的に判断するため、就学相談の際には、発達検査結果、診断書、療育手帳などの情報提供にご協力ください。

また、自閉症・情緒障害・LD・ADHDの判定には医師の診断を推奨しています。就学相談時に診断書等を提出できるよう、早めの受診をお勧めしています。受診の際は、母子健康手帳、鹿追町子育てサポートファイル、園や学校等の支援計画など、過去の経緯や支援の内容がわかる資料を持参してください。

就学年度の前年11月末日までに、必要書類を提出いただきます。こども園(保育所)に通っている場合はこども園(保育所)へ、こども園(保育所)へ通っていない場合は教育委員会へ、書類を提出してください。 必要書類一覧

交流及び共同学習

我が国は、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の実現を目指しています。

幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校(以下「小・中学校等」という。)及び特別支援学校等が行う、障害のある子供と障害のない子供、あるいは地域の障害のある人とが触れ合い、共に活動する交流及び共同学習は、障害のある子供にとっても、障害のない子供にとっても、経験を深め、社会性を養い、豊かな人間性を育むとともに、お互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会となるなど、大きな意義を有するものです。

また、このような交流及び共同学習は、学校卒業後においても、障害のある子供にとっては、様々な人々と共に助け合って生きていく力となり、積極的な社会参加につながるとともに、障害のない子供にとっては、障害のある人に自然に言葉をかけて手助けをしたり、積極的に支援を行ったりする行動や、人々の多様な在り方を理解し、障害のある人と共に支え合う意識の醸成につながると考えます。

小・中学校等や特別支援学校の学習指導要領等においては、交流及び共同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすることとされています。交流及び共同学習は、相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする交流の側面と、教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があり、この二つの側面を分かちがたいものとして捉え、推進していく必要があります。

交流及び共同学習の内容としては、例えば、特別支援学校と小・中学校等が、学校行事やクラブ活動、部活動、自然体験活動、ボランティア活動などを合同で行ったり、文通や作品の交換、コンピュータや情報通信ネットワークを活用してコミュニケーションを深めたりすることなどが考えられます。これらの活動により、各学校全体の教育活動が活性化されるとともに、子供たちが幅広い体験を得、視野を広げることで、豊かな人間形成に資することが期待されます。

また、学校において、交流及び共同学習や障害のある人との交流を行うことは、近い将来に社会を担う子供たちの「心のバリアフリー」を育むだけでなく、子供たちを通してその保護者や活動に関わる関係者の障害者に対する理解を促進し、ひいては社会全体の意識を変えることにつながります。

自立活動とは?

自立活動は、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導の場において、特別に設けられた指導領域で、特別支援学校学習指導要領で、次のように定められています。

自立活動は,個々の児童又は生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識・技能・態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う。 特別支援学校 小学部・中学部学習指導要領(平成29年4月公示) 第7章 第1目標より

自立活動は、特別支援教育の土台、中核となる指導であり、通常の教育では実施することのない領域であることから「特別の指導」と呼ばれています。特別支援学校学習指導要領にも、小・中学校などの学習指導要領と同様に、すべての幼児児童生徒に対し人間として調和のとれた育成を目指すことが明記されています。

そして、その柱となる資質・能力が

●何を理解しているか、何ができるか(知識・技能)

●理解していること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力など)

●どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか(学びに向かう力,人間性など)

の3つの要素(以下3要素)です。

定型発達の幼児児童生徒には、各教科等において系統的に示されている目標や内容を発達段階に応じて指導することで、この3要素がバランス良く育成されていきます。しかし、障害のある幼児児童生徒は、その障害ゆえに日常生活や学習において様々なつまずきが生じてしまうため、定型発達の幼児児童生徒と同様の指導では、3要素の育成が十分ではありません。そこで、各教科等の指導に加え、特別の指導である「自立活動」の領域を設け、その指導を行うことによって、3要素の育成を目指しています。

自立活動の内容は?

立活動は、「人間として基本的な行動を遂行するために必要な要素」と「障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するために必要な要素」で構成され、6つの区分と27の項目に整理されています。

この6区分27項目は、自立活動の具体的な指導を行うために必要となる要素を示しているものであり、各教科等のように、すべてを行うものではありません。障害のある児童生徒一人ひとりの状態に合わせて、27項目から必要な要素を選び出し、それを具体的な指導として構築することになります。